コンゴ民主共和国ではCDF(コンゴ・フラン)という現地通貨が使われるほかに、ドルも普通に流通している。巷では1ドル=2600CDFで計算されている。例えば、6000CDFの物を買うのに10ドルを出したら、20000CDF返ってきて、近所の公園で入場料が2ドルと言われたら6000CDF支払うという具合だ。(ちょっとレートに合ってなくて損な感じも。)
100CDF札も見かけないことはないけれど、普段の生活でよく見るのは200CDF、500CDF、1000CDF、5000CDF、10000CDF紙幣。
世界で最大の熱帯雨林といえばアマゾン。二番目に大きいのがアフリカ大陸の中央部に存在するものであるが、その70%がコンゴ民主共和国の国内にある。
引用:https://global.mongabay.com/jp/rainforests/0102.htm
広大な面積を誇る森林の中では場所によってもちろん住んでいる動物は違うが、シマウマやライオン、ゴリラ、オカピ、オウムなどありとあらゆる動物が住んでいる。だから、紙幣にも伝統的な工芸品の絵と共にたくさんの野生動物が描かれている。
日本のキャッシュカードで現金が引き出せる?
現地での現金入手方法について。私はソニー銀行のSony bank walletを長年愛用しているのだけれど、このカードは海外のATMに差し込むと、自分のドル口座からそのまま手持ちのドルを引き出すことができる。
それが可能であることは事前にHPを入念に読んで確認していたが、本当にアフリカで、このコンゴで、それもGOMAでそれが出来るのか、最後の最後まで信じられなかった。カードを差し込んだが最後、吸い込まれて出て来ないとか、実は銀行HPの下の方に小さい字で※ご使用いただけない一部の国がございます。なんて書かれていたのを見逃していたのではないかと心配になったり。だから、ATMがパカッと口を開けて事も無げにドルを吐き出した瞬間の私の安堵と言ったらなかった。
とりあえず、現地で現金を手にする手段は大丈夫だと確認できたことは大きかった。さもなければ友人の口座にお金を振り込んで、それをウエスタンユニオン経由で送金してもらうしか方法は思いつかなかったから。
ATMの手数料
とりあえず現金を入手できることが確認できた喜びも束の間、今度はATMを利用する度に引かれてしまう手数料が明らかになり、痛くてたまらない。本当に人間というのは一つクリアできたと思ったら、次の瞬間、また次の問題で頭がいっぱいになってしまう。それにしても、100ドル当たり4ドルもの手数料が引かれてしまうなんて、壁を隔てた向こうに悪代官でも座っているんじゃないだろうか。(Sony bank wallet のVISAデビットであればドルで支払えば手数料が0円なのに!クレジットカードのサインのあるお店なんて、Gomaでは見たことがない。)
日本でドルをキャッシュにするコストと比べてみると、例えばその日のレートが140円だったとすると、だいたい3~4円増しの143~144円で手数料込みの購入レートが平均的なところ。100ドル当たりに換算すると、300~400円が手数料という計算になるので、特に円安の現在は日本で両替した方がお得感がある。それにしても、この通貨の壁・自分のお金を異動させるためだけに、こんなにも目減りさせてしまうとは悔しくて仕方がない。
NGOで働いていた時は、アドミニストレーターが毎月現地の通貨を支給してくれた。ミッションの最後はドルに換えて、その持ち金で休暇を過ごして帰るだけだったから、なんとお気楽だったこと。それがどれだけ有難いことだったのか気が付かなかった。日本から離れて自力で全てのことを賄おうとすると、時々放り出されたような心細さを覚える。でもこれは自由の対価だ。
こういうお金の分野は本当に不慣れなので、これから色々な方法をリサーチしていかないと手数料貧乏になってしまう。
事件
ところで、そろそろドルとセーファーの計算も慣れてきた頃、その事件は起こった。
いつものようにDr.Kに必要なものを市場で探してきてもらうようお金を渡すと「明日持ってくるね」と言い、彼は帰って行った。ところが15分後、帰ると言っていたDr.Kが家の敷地に入ってくるのが見えた。しかも、小走りに走っている。成人コンゴ人というのは男女共にめったに走らない。めったに走らないコンゴ人が走っている、ということは何かがあったということだ。
何事かと思って尋ねると、険しい顔をして、私の目の前で先ほど渡した20ドル紙幣をビリビリにちぎっていく。何と、先ほど渡した20ドル紙幣が偽札だったというのだ。まさか!私は唖然としていた。
「現地に慣れてないと思って、騙されたな」「これはいつ、どこで受け取ったものなのか」「日本ではお金を受け取ったら自分でちゃんと確認しないのか!?」矢継ぎ早に質問されて一つずつ整理する。偽物の20ドル紙幣が私の財布に入っていたということは、支払いで銀行から引き出した50ドル札を出して、そのおつりとして受け取ったものがそれだということ。
ここ数日、一人で買い物には出ていない。買い物をするときはいつもNanaかDr.Kと一緒だったから、自分でお金を出した機会があっただろうか?全く思い出せない。
・・・そういえば、ここでドルを出したら必ずどの人も透かしを光に当ててみたりワシワシ手触りを見てみたり、入念な確認を怠らない。「日本では確認をしないのか」だって!?それを聞いて、もし日本で自分が出した紙幣を目の前でお店の人が入念にチェックし始めたら・・・とその様子を想像して笑ってしまった。逆に受け取った紙幣の透かしを私が確認し始めたら、お店の人はどんな反応をするだろうか。
平和な日本。日本を遠く離れても、おめでたい私。
銀行で引き出す紙幣は100ドル札か50ドル札なので、買い物では必然的に大きなドル紙幣を出さざるを得ないことも多い。けれど、ドルでお釣りを受け取るときはかなり注意をしなければならない、ということがここに来て理解できた。これまで訪れた、中東やアフリカのどの国でも、遭遇したことがなかった初めての事件。そう考えると、これまで一度も偽札に出会わなかったことが奇跡のように思えた。
唐突だったせいか、意外と悔しさはなく「おおー、これがコンゴか」という私の受け止め。
ああ、Dr.Kはビリビリに破いてしまったけれど、あの偽札は私の訓練のために置いておいて欲しかった。目をつぶっていても手触りで見破れるようになるまで特訓するとか、じっくり色具合なんかを見比べて、この節穴を鍛えたかった。目下、とにかく本物に触れ続けて体で覚える訓練中。
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